私の青春、丸の内。


結婚が決まってからすぐのこと。


東京駅に行く予定があった。

早く着いてしまったので
人との約束の時間まで
ブラリと丸の内を歩いた。




丸の内。
ここは私にとって、思い出深い場所だ。

20代の後半
私は丸の内で働くOLだった。

そこでの数年間は
私にとって、遅い「青春」と呼んでも過言ではない、今でも思い出すとツンと切ない気持ちにもなる特別な時間だ。




世界で一番好きな彼とつきあっていた。
幸せで幸せで。
彼で一日が始まり、彼で一日が終わった。

たくさんの仲間や上司と出会った。
いい人ばかりで、私はいつも幸せだった。
会社に行くのが楽しみで、仕事をすることが楽しくて。


あの頃の私がどれだけ仕事を楽しんでいたかというと
今でもよく覚えているが
昼休みに入るとサッサッとごはんを食べ
早く昼休みが終わらないかと、仕事をすることが待ち遠しくて仕方なかった。


あの期間は
今でも私にとって
ときおり思い出しては、甘く切ない気持ちになる大切な大切な時間・・・。




そんなことを思い出しながら歩いてたら
よく会社帰りに寄ったネイルサロンがあった。

あの頃
おしゃれをするのが楽しくて
ネイルサロンはよく通ったっけ。


よく行ってたスターバックスが、まだある。
パスタのおいしいレストランも・・・。



私は歩きながら、いろいろなことを思い出していた。

幸せだったこと。
失恋したこと。
闇の中で苦しみ、もがいたこと。


喫煙所の場所も変わっていない。

あの頃、私はタバコを吸っていた。
正確に言うと
大好きだった彼にフラれ、辛くてタバコを吸い始めてしまったのだ。



会社が終わると私はいつもこの喫煙所で、悲しく、おいしくもないタバコをふかしてから、帰路についた。




あれだけ好きだった人がいて、あんなに人を愛して。
でも、失った。
あの時の私を救ってくれたのも、この丸の内の人たちだった。




そして今
私はあのとき自分が思いもしなかった人と結婚をしようとしている。


タバコ嫌いの彼と。

この彼といる限り、これから先ずっとタバコを吸うことはない。




私はこの感覚に
この偶然に不思議さを覚えた。

そして
ここで
ひとつの、自分の人生の区切りがついたように思えた。


私は
この時期に
丸の内に自分が訪れたのも

偶然ではなく、必然だったような気がしてならなかった。



ひとつの、区切り。
新しい人生をスタートさせるための、区切り。



あの頃私はJRを使い
丸の内まで通勤していたが
新居に帰る今日の私はJRではなく違う路線で使って、帰らなくてはならない。


丸の内の地下道を抜けた私は
あの頃歩いてきた道とは反対の方向に向かって、歩き始めた。

今まで歩いてきた道を背にし
私はこれからの道を歩き始めた…。

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